承知しました。世界および日本における再生可能エネルギーの最新動向について、技術、政策、投資、環境影響など多角的かつ網羅的に調査を開始します。
完了次第、分かりやすい構成と見出しでご報告いたします。
再生可能エネルギーの最新動向(2024~2025年)
世界の再生可能エネルギー導入状況と成長傾向
世界では再生可能エネルギーの導入が近年急速に拡大しており、2023年および2024年には過去最高の設備容量増加を記録しました。2024年末時点で再生可能エネルギー発電容量は約4,448GW(ギガワット)に達し、前年比で585GWもの新規導入が行われました。これは年間成長率にして15.1%の大幅増加であり、2023年の473GW(14.3%増)を上回る過去最大の伸びとなっています。新規導入電源のうち再エネが占める割合も2024年は92.5%に達し、従来の化石燃料電源の追加を大きく凌駕しました。その結果、世界全体の発電設備に占める再エネ容量比率も46.4%に上昇し、前年比で約3ポイント上昇しています。再エネ拡大に伴い、従来型電源の追加が鈍化または減少に転じつつあり、電力分野の脱炭素化が加速しています。
- 技術別の動向:再エネ容量拡大の主役は太陽光と風力です。特に太陽光発電の伸びが著しく、2024年に約452GWを追加し世界全体で1,865GWに達しました。1年間で32.2%もの成長を遂げ、再エネ全体の増分の約77%を太陽光だけで占めた計算です。これは各国での太陽光発電コスト低下(2023年に世界平均で12%低下)や設置拡大が続いているためです。一方、風力発電も引き続き拡大し、2024年には世界で推定100~120GW前後の容量増(主に中国による約76GW増)がありました。太陽光・風力の2つで**新規再エネ導入の96.6%**を占めており、再エネ成長を牽引しています。水力や地熱、バイオマスなど他の再エネ電源も増加していますが、増分は数GW規模に留まります。
- 地域別の動向:再エネ導入は地域差が大きく、アジアが世界の増加分の約72%を占めています。とりわけ中国の存在感が突出しており、2024年の世界の再エネ新設容量の約64%が中国によるものでした。中国は2024年に太陽光だけで278GWを新規導入しており、単一年で他のどの国よりも多くの容量を追加しています。これにより中国は累積導入量でも世界最大の再エネ大国となっています。一方、欧米諸国でも再エネは拡大しており、先進国では2023年に発電の半分以上がクリーン電源(再エネ+原子力)となるなど構成比に大きな変化が見られました。G7諸国全体では2023年時点で再エネ容量が980GW(世界シェア25%)に達し、電力需要の伸びを上回るペースで導入が進んでいます。これに対し、アフリカや中南米など一部地域では導入が遅れており、2024年の増加容量はそれぞれ数GW程度に留まります。例えばアフリカ全体の2024年増加は4.2GWに過ぎず、地域間格差が依然として課題となっています。
- 成長傾向と今後:世界の再エネ導入は今後も高成長が続く見通しですが、2030年までに導入容量を現在の3倍(約11.2TW)にするという国際目標に比べると依然ペース不足とも指摘されています。IRENAなど国際機関は2030年まで年率16%以上の成長が必要と試算しており、各国にさらなる導入目標引き上げと政策強化を促しています。とはいえ現在の成長率でも既にエネルギー転換に大きな影響を及ぼしており、IEA(国際エネルギー機関)は「過去5年で再エネやEVの普及がなければ、エネルギー由来CO2排出の増加幅は実際の3倍に達していた」と分析しています。再エネの拡大は地球温暖化対策に不可欠であり、世界的なクリーンエネルギーへの転換が加速しています。
世界の再生可能エネルギー導入状況:容量は各年末時点の再エネ発電設備容量(風力、太陽光、水力、バイオマス、地熱等の合計)。2024年は前年比+15.1%の成長となり、新規電源の大半を占めた。再エネ容量の総発電設備容量に占める比率も年々上昇している。
日本国内における再生可能エネルギーの現状と政策
日本においても再生可能エネルギー導入は着実に進展しています。2023年(暦年)の日本の再エネ発電比率は速報値で25.7%と、前年の22.7%から約3ポイント増加しました。これは太陽光発電の大幅な増加や一部原子力再稼働により、化石燃料由来発電が減少したことによります。日本の再エネ比率は2010年代初頭には一桁台でしたが、2012年に導入された固定価格買取制度(FIT)を契機に太陽光を中心に急拡大し、発電量ベースで20%台半ばまで高まっています。再エネ設備容量は累計で約150GW規模に達しており、世界第6位の導入量(うち太陽光は約80~90GWで世界第3位)となっています。特に太陽光発電は国土面積あたりの導入量で主要国中最大級となるなど、日本の再エネ電源の主力です。一方、風力発電設備は2023年時点で約5.2GW(うち洋上風力は数十MW程度)に留まり、水力発電は約50GW弱(大部分が既設の大規模水力)で横ばいです。地熱発電は世界有数の資源量があるものの設備容量は約0.6GW程度と小規模で、バイオマス発電(木質ペレットや廃棄物利用など)は数GW規模となっています。
日本政府は2030年度に再エネ比率36~38%を目標に掲げており(第6次エネルギー基本計画)、今後さらに再エネ導入を拡大する方針です。2050年カーボンニュートラル実現に向け、中長期的には2040年頃に再エネ比率を4~5割程度に高める見通しが示されています(第7次エネルギー基本計画)。政策面では、2012年施行のFIT制度が太陽光拡大を牽引しましたが、調達コスト増大や地域との軋轢を受けて制度の見直しも進んでいます。近年は大規模案件を中心にFIP(フィードイン・プレミアム)制度へ移行し、市場原理を活かしつつ支援を行う仕組みを導入しました。また再エネの主力電源化に向け、送電網の増強や調整力確保(蓄電池や火力調整力の活用)、及び非FIT型の再エネ普及(企業の自主的なPPA契約や自己消費型太陽光の促進)にも力を入れています。
政府の政策目標を支える具体策として、以下の点が挙げられます。
- 導入目標と計画:第6次エネルギー基本計画(2021年策定)では2030年度の電源構成における再エネ比率36~38%を掲げ、その内訳として太陽光約105~118GW、陸上風力18GW、洋上風力10GW弱、水力50GW、地熱1.5GW、バイオマス8GW程度の設備容量目標を示しました。さらに洋上風力は2040年に30~45GWを導入する目標が設定され、専門エリアの指定や入札制度整備が進められています。また水素・アンモニア発電も2030年に1%導入(試行的利用)する計画です。
- 規制・制度改革:再エネ拡大に伴う地域の懸念(安全、景観、環境影響など)に対応するため、再生可能エネルギー特別措置法の改正が行われました(2024年4月施行)。改正では事業実施前の地域住民説明会の義務化や、太陽光パネル増設時の新買取区分設定、事業者の遵守事項強化などが盛り込まれています。これにより無秩序な開発を抑制し、地域と共生した再エネ導入を進める狙いです。また系統接続ルールの見直し(ノンファーム型接続の拡大等)や、送電網の柔軟運用による出力制御緩和策なども講じられています。
- 支援策と産業振興:再エネ関連産業の競争力強化にも注力しており、例えば次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池等)の開発・実装戦略が策定されました。2024年11月に官民協議会で「次世代型太陽電池戦略」がまとめられ、耐荷重性の低い屋根や壁面への軽量パネル設置を可能にするペロブスカイト電池の早期実用化を目指しています。具体的には2025年までに発電コスト20円/kWh、2030年までに14円/kWh、2040年に10~14円/kWh以下という目標を掲げ、国内でGW級の生産体制を構築し2040年までに累計20GW導入を目指す計画です。政府は研究開発資金や実証事業を支援するとともに、需要喚起策を通じて民間投資を誘導しています。
- その他の重点分野:洋上風力については「促進区域」の指定と公募による案件形成が進められ、秋田県・長崎県などで入札が行われました。蓄電池産業の育成にも乗り出し、官民基金による大型蓄電池工場建設支援などを行っています。さらに水素エネルギーに関しては、日本は2023年に水素基本戦略を改定し、2040年に年間1200万トンの水素供給量確保という大胆な目標を掲げました。これには官民で15兆円規模の投資を行い、製造・輸送インフラを整備する計画が含まれます。水素を将来のエネルギー源の一つと位置づけ、燃料電池や水素発電、輸送船開発など幅広い分野で技術開発支援が行われています。
日本の再生可能エネルギー現況と政策目標の概要。再エネ比率は年々上昇しており、2030年に向けてさらに倍増近い目標が設定されている。政策面では支援制度の進化や規制整備、技術開発支援によって、再エネの主力電源化と地域との調和を図っている。
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス・水素の技術進歩と革新事例