概要

再生可能エネルギーは世界的に急速な拡大を続けており、2024年には記録的な設備容量の増加が見られました。特に太陽光発電の伸びが著しく、エネルギー貯蔵技術への投資も活発化しています[1][77]。各国政府の政策支援がこの成長を後押ししており、COP28で合意された「2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍にする」という目標達成に向けた動きが加速しています[2][53]。技術革新も進んでおり、次世代太陽電池(ペロブスカイト等)や浮体式洋上風力、グリーン水素、先進的なエネルギー貯蔵ソリューション(フロー電池等)が注目されています[19][25][56]。日本では、2030年度の電源構成比36~38%達成という目標に向け、太陽光や洋上風力の導入拡大、関連技術開発、企業の再生可能エネルギー導入(コーポレートPPAなど)が進められています[8][12][22][39][51]。一方で、風力発電におけるサプライチェーンや許認可の課題、高コスト、送電網への統合といった課題も存在します[1][22][48][81]。

詳細レポート

世界の再生可能エネルギー動向

急成長と設備容量の拡大

2024年は再生可能エネルギーの設備容量が世界的に大幅に増加しました。2024年には新たに585GWの容量が追加され、世界の総発電設備拡張の90%以上を占めました[77]。特に太陽光発電(PV)がこの成長を牽引しており、2023年には世界の再生可能エネルギー容量増加の4分の3を占めました[2][53]。国際エネルギー機関(IEA)は、2025年までに再生可能エネルギーが石炭を抜いて世界最大の電力源となり、風力と太陽光はそれぞれ2025年と2026年に原子力発電を上回ると予測しています[53][79]。2024年から2030年の間に、世界で5,500GW以上の再生可能エネルギー容量が追加されると予測されており、これは過去7年間の増加量の約3倍に相当します[26]。

政策支援と投資の活発化

各国政府による強力な政策支援が再生可能エネルギーの導入を加速しています。欧州連合(EU)のグリーンディール産業計画、米国のインフレ抑制法(IRA)、インドの生産連動型インセンティブ(PLI)などが代表例です[2][53]。中国は、経済政策による支援で陸上風力や太陽光プロジェクトを加速させており、世界の新規再生可能エネルギー容量の約60%を占めると予測されています[2][34][53]。企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みに対する規制強化も、民間部門での再生可能エネルギー需要を高めています[2][53]。クリーンテック分野への投資も活発で、2024年第3四半期には710億米ドルに達し、過去最高を記録しました[1]。

主要技術分野の動向

技術トレンドの要約

技術分野 主要トレンド 注目技術
太陽光発電 導入量・発電量ともに急拡大、コスト低下継続 ペロブスカイト太陽電池、タンデム型太陽電池[72]
風力発電 陸上は地域差あり、洋上(特に浮体式)に期待、コストと許認可が課題 大型風車、浮体式基礎技術[22][56]
エネルギー貯蔵 バッテリー(特にリチウムイオン)導入急増、系統安定化に不可欠 フロー電池(レドックスフロー)、固体電池[56][58][60]
グリーン水素 脱炭素化の切り札として期待、政策支援拡大、コスト・インフラが課題 高効率水電解装置
スマートグリッド AI活用による需給最適化、再生可能エネルギーの効率的利用 AI予測・制御技術、VPP(仮想発電所)[53][56][65]

日本の再生可能エネルギー動向

政策目標と現状

日本政府は、2050年カーボンニュートラル達成に向け、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減し、再生可能エネルギーの比率を電源構成の36~38%に高める目標を掲げています[6][12][22][36][39][55]。日本の再生可能エネルギー導入量は世界第6位で、過去7年間で発電量は約3倍に拡大しましたが、太陽光・風力の発電コストは依然として世界の水準と比較して高い状況です[22]。